Lenovoの人気機種であるIdeaPadと、Yogaの比較レビューです。
言ってみたら全然違う目的で作られているので多くのことが違い、価格も全然違います。
簡単に言うと、スペック的にも価格的にもYogaは社会人向け、IdeaPadは学生向けといった感じです。
私はThinkPadやYogaを使った後に、コスパに惹かれてIdeaPadを2年ほどメインに使っていました。価格が全然安いのに、IdeaPadでも十分仕事ができたからです。
なので、一概に「社会人だからYoga」というわけではないです。好きなものを予算内で購入したら、何を使ってもいいと思います。
ただし、Yogaはプレミアムなモデルなので所有欲が満たされるし、毎日の業務がちょっとしやすくなります。
Contents
IdeaPadとYogaの違い
今回のレビューに使用した機種で、上段左からYoga 770i、Yoga 660、IdeaPad Flex 570、下段左からIdeaPad Slim 550i、IdeaPad Slim 360 Chromebook 、IdeaPad Slim 370iです。
これ以外にも、すべての両シリーズのデータを精査して紹介しています。
IdeaPad | Yoga | |
スペック | 普段使い用 | クリエイター向け |
Evoプラットフォーム認証 | なし | あり |
ディスプレイ | 主にFHD IPS sRGB 100%あり 一部16:10あり |
主にWUXGA IPS 2.8K OLED DCI-P3 100%あり 主に16:10 |
オーディオ | Dolby Vision | 主にDolby Atmos |
Wi-Fi | Wi-Fi 5/Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6/Wi-Fi 6E |
素材 | 樹脂/アルミニウム | ※アルミニウム/カーボン |
筐体 | 小型 | 小型薄型 |
重量 | 標準 | 標準 |
インターフェイス | 普通 | 質は高いが数は普通 |
※2 USB4(Thunderbolt 4) | Proモデルの一部 | あり |
2 in 1 PC | FLEXシリーズにあり | Yogaシリーズにあり |
価格 | 6万円台~ | 10万円以上 |
※ Yoga DuetとYoga 6シリーズ一部機種は、樹脂やファブリックが使用
※2 AMDモデルはUSB4がない機種もあり。Intelモデルはすべて搭載
IdeaPadとYogaを比較し、一番わかりやすい言葉としては、「Yogaの方が高品質・高機能」です。IdeaPadは低価格なのにこだわりの品質ですが、まぁ、価格も全然違うので細かいところで差が出ていますね。
また、IdeaPadにはProモデルという高品質なシリーズがありますが、これはIdeaPad以上Yoga以下とみてもらって大丈夫です。
それでは以下にて、詳しく見ていきます。
スペックに差はない?
まずはスペックに関してですが、YogaとIdeaPadはCPUは同じものを使用しているので、単純なパソコンの性能にそこまで違いはありません。
細かいことを言えば、メモリやSSD、そしてWi-Fi性能がYogaの方が高いので差はありますが、Webページを開く速度や、アプリを開く速度に大きな差はありません。
YogaはEvoプラットフォーム認証がある
<Yoga 770iについているEvoのシール>
Evoプラットフォーム認証は、高性能・高機能な一部のノートパソコンにのみ与えられるもので、Lenovoが決めるのではなくIntelの認証です。
第11世代CPU搭載モデルもEvoがありますが、現行最新の12世代のCPUの場合は、以下に当てはまる機種のみにEvo認証が付きます。
- Iris Xeグラフィックス搭載の第12世代CPU搭載機種
- アプリケーションを高速かつ高レスポンスで使える
- AI推論も高速で使える
- 電源を問わずにレスポンスが良い事
- 9時間以上のバッテリー駆動時間
- フルHD以上
- 1秒以内でスリープから復帰
- 30分の充電で4時間駆動
- Wi-Fi 6E実装
- Intel CPS(Connectivity Performance Suite)に対応
- フルHD以上のWebカメラを搭載
- 音声ノイズ抑制機能搭載
- Thunderbolt 4搭載
- ノートパソコンであること
- (必須じゃないが)Intel VSC(Visual Sensing Controller)搭載
細かく書いていますが、簡単に言うと高機能じゃないとダメなんです。
簡単に体感できる点として、「1秒以内でスリープから復帰」はすっごく便利ですね。
ディスプレイの品質が全然違う
IdeaPad | Yoga | |
画面比 | 16:10 16:9 |
ほぼすべて16:10 |
解像度 | FHD、WUXGA、2.5K | WUXGA、2.8K |
色域 | NTSC 45%、sRGB 100% | sRGB 100%、DCI-P3 100% |
輝度 | 250~300ニト(1機種のみ350ニトあり) | 400ニト(一部300ニトあり) |
液晶 | TN液晶、IPS液晶 | IPS液晶、OLED液晶 |
HDR | なし | あり |
上の写真左はYoga 770iで、WQXGA(2.8K) OLED液晶、右はIdeaPad Slim 550iのディスプレイです。
左のYogaは色が鮮やかですよね?Yogaって色域が広いディスプレイを採用しており、最低でもsRGB 100%、良いものだとDCI-P3 100%(これは上の画像の色域)となっており、IdeaPadはほぼすべてNTSC 45%(これは上の画像右の色域)です。
IdeaPad ProモデルはsRGB 100%という広めの色域もありますが、稀です。
3つの色域を並べてみますね。左からDCI-P3 100%、sRGB 100%、NTSC 45%です。
また、2022年発売のYogaはほぼすべて400ニトと高い輝度(画像左)になり、IdeaPadは300ニト(画像真ん中)~250ニト(画像右)になっています(一部Proモデルは350ニトあり)。
HDR/Dolby Vison対応 | 非対応 |
HDR(ハイダイナミックレンジ)やDolby Visionは黒をより黒く引き締まった描写が可能になり、Yogaのみ対応機種があります。
オーディオ&カメラ
IdeaPad | Yoga | |
オーディオ | ドルビーオーディオ | ドルビーアトモス |
スピーカー | 2つ | 2~4つ |
マイク | デュアルアレイ | デュアルアレイ+ノイズキャンセリング機能付き |
カメラ | 720p/1080p | 1080p+IR |
オーディオ関係は、IdeaPadには一般的な品質のものが搭載で、Web会議をしない人は特に気にならないと思います。
YogaはWeb会議やビジネス用途で快適に使える品質になっており、スピーカーが多く、マイクにはノイズキャンセリング機能対応、そしてWEBカメラは高画質のFHDになっています。
IdeaPadは一般的なHD WEBカメラか高画質FHD Webカメラが搭載で、Yogaは顔認証のIRカメラとハイブリットのFHDカメラが搭載です。
顔認証があるので楽ですが、FHDカメラよりも画質が落ちます。
Wi-Fi
対応周波数 | 速度 | |
IEEE802.11ac (Wi-Fi 5) |
5GHz | 6.9Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) |
2.4/5GHz | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6E) |
2.4/5/6GHz | 9.6Gbps |
IdeaPadはWi-Fi 6かWi-Fi 5が搭載で、YogaはWi-Fi 6かWi-Fi 6Eが搭載です。Wi-Fi 6Eだとアンテナの感度もよく、サクサク快適な通信速度があります。
こちらは例ですが、Wi-Fi 5とWi-Fi 6(IdeaPad)、そしてWi-Fi 6E(Yoga)のPCで同時に通信速度を計測しました。時間帯や環境、契約回線により数値は変わります。
Wi-Fi 5は28Mbps、Wi-Fi 6は76Mbps、Wi-Fi 6Eは130Mbpsでした。これは同時に計測したので速度が低めですが、1つずつ計測したらもうちょっと速度は上がります(今回は比較のため同時に計測しました)。
筐体
左からIdeaPad Slim 370i、IdeaPad Flex 570、Yoga 770iで、遠目から見たらどれもおしゃれな筐体ですね。
IdeaPad Slim 3シリーズは樹脂素材(プラスチック)、IdeaPad Slim 5 /Flex 5シリーズは天板がアルミニウム、底面が主に樹脂、そしてYogaはアルミニウムボディになります。
2022年に発売されたIdeaPad Proモデルは、アルミニウムボディですが、基本的にIdeaPadはアルミ+樹脂です。
ここ最近技術が進歩し、樹脂と分かりにくいような加工もされていますが、やはりアルミニウム素材の方が高級感があり、耐久性や剛性が高いです。
また、筐体の寸法は若干Yogaの方が小さく(=ベゼル(画面の黒い枠)が細い)、薄型です。
重さ自体は両機種とも平均的なものになっています。
インターフェイス
IdeaPad | Yoga | |
USB4/Thunderbolt 4 | Proモデル以外は無し | Yoga 6シリーズ以外搭載 |
USB Type-C(Powerdelivery、Displayport機能) | あり | あり |
SDカードリーダー | あり | なし |
HDMI | あり | あり |
インターフェイスはどちらも基本的に少なく、
・Yoga・・・USB-A×1、USB Type-CもしくはUSB4(Thunderbolt 4)×2、HDMI、microSDカードリーダー
・IdeaPad・・・USB-A×2、USB Type-C×1、HDMI、SDカードリーダー
になります。
こちら↓は例ですが、ほとんどの機種で同じ仕様です。
上の画像はYogaのインターフェイスで、Thunderbolt 4が2つ、USB-Aが1つ、そしてHDMIにmicroSDリーダーです。
こちらはIdeaPad Slim 370iのインターフェイスで、USB-Aが2個、USB Type-Cが1つ、HDMIにSDカードリーダーです。
2 in 1 PC
2 in 1 PCはディスプレイを180度回転できるタイプで、タッチディスプレイになります。
YogaにはYogaとYoga Slimというシリーズがあるのですが、Yogaは2 in 1 PCでYoga Slimはクラムシェル(通常のPC)になります。
IdeaPadはFlexと名がついた機種が2 in 1 PCになります。
IdeaPadはかなり安い
ここが最大の違いで、IdeaPadはChromebookだったら時期によっては3万円台から、通常のSlimシリーズやFlexシリーズは6万円台後半からと、コスパが高いです。
Yogaは2020年発売の機種で7万円台からありましたが、今は安くてもYoga 6シリーズが8万円台から、Yoga 7シリーズは12万円台~がメインになっています。
価格はIdeaPadが勝ってますね。
最後に
見てきた通り、全体的なスペックはYogaの方が高いですが、CPUは同じものを使っているので、速度的に体感で差はあまりないと思います。スリープからの復帰速度や、ダウンロード速度はYogaの方が速いですが、普段使い用途の場合は気にならない範囲だと思います。
画像編集などのクリエイティブワークをする人は確実にYogaがいいですが、そうでなければIdeaPadでも困ることはないと思います。
Yogaは+αがあるので使い勝手が高いですが、その分価格も高いです。でも、プレミアムなモデルなので所有欲は確実に満たされます。
こちらの記事でIdeaPadやYogaのおすすめ機種を紹介しているので、あわせてどうぞ。